自宅を相続する前に絶対確認すべき!配偶者への【おしどり贈与】について

相続の中で、やり方次第で税金の金額が何倍も変わってしまうもの。
それが「自宅」です。

自宅を相続するときは、「誰がどのように相続するか」がとても重要になります。

中でも、「配偶者に自宅を譲りたい」と思う方はとても多いです。

残される配偶者が住まいに困らないようにしたい。。。

そんな思いに応えるための制度が「おしどり贈与」です。

この制度を使うと、自宅用不動産を配偶者に贈与する場合に贈与税の特例を受けることができます。

今回は、生前の相続対策にあたり確認しておきたい、夫婦間の「おしどり贈与」の制度について解説いたします。

夫婦で自宅に住んでいる方」は絶対に確認しておいてくださいね!

おしどり贈与の特例とは?

次のような場合に贈与税を減額してもらえます。

  • 夫婦の間で「自宅不動産」または「自宅を購入する資金」を贈与した場合、2,000万円までを贈与税の計算対象から控除できる
  • さらに、「暦年課税」の年間110万円の非課税枠を加えることで、最大2,110万円贈与税の計算対象から控除できる

つまり、自宅用不動産の価値が2,110万円以内であれば、贈与税が一切かからずに配偶者に譲り渡すことができるのです!

おしどり贈与を受けられる条件

おしどり贈与の特例を受けるためには、次の条件に当てはまっていることが必要です。

  • 結婚して20年以上であること(※事実婚などは×
  • 贈与するのが「住むため」の不動産あるいはその購入資金であること
  • 贈与を受けた次の年の3月15日までにその不動産に住んでいること
  • 特例を受けるのが初めてであること(2回目以降は×)

おしどり贈与のメリット

おしどり制度を利用して自宅を生前贈与するメリット、贈与税を減額できるメリットのほかに、次のようなメリットがあります。

  • 相続税対策になる
  • 配偶者に住まいを確実に渡すことができる
  • 生前贈与加算が不要

それぞれ解説していきます。

相続税対策になる

生前に贈与をすることで、相続の時の相続財産を減らすことになり、相続税の節税につなげることができます。

 (相続税の計算方法についてはこちら↓をご覧ください。)

配偶者に住まいを確実に渡すことができる

相続が発生した時に遺言書が無い場合、相続人全員で協議して遺産の分割方法を決めることになります。
遺産分割協議に結果によっては、自宅が他の相続人のものになってしまったり、売却することになってしまう可能性もあります。
おしどり贈与で事前に自宅を贈与しておけば、住宅は相続財産に含まれなくなり、相続人間の協議の必要がなくなるので、確実に配偶者の住まいを確保できます。

また、一部の相続人が生前に財産を贈与してもらうなどで特別に利益を受けた場合、通常は他の相続人との公平を図るために、「特別受益」として遺産分割の時に贈与分の調整をする必要が出てきます。
しかし、おしどり贈与を活用した場合は特別受益の対象外になります。

生前贈与加算が不要

相続税に計算にあたり、通常の贈与では、贈与が行われた日から3年以内(2024年以降の贈与から7年以内)に相続が発生した場合、贈与された額を相続財産に加算して相続税を計算する必要があります。

しかし、おしどり贈与を活用した場合は相続財産に加算しなくてもよいことになっています。

おしどり贈与の注意点

一方、おしどり贈与には次のような注意点もあります。

  • 手続き費用が相続よりも高くなる
  • 結局、おしどり贈与でも相続でも税金は変わらない可能性が高い
  • 贈与された方が先に亡くなった場合はかえって2度手間になる

手続き費用が相続よりも高くなる

贈与で不動産を渡すと、不動産取得税と登録免許税という手続き費用が相続よりも高くなってしまいます。

贈与の場合相続の場合
不動産取得税固定資産税評価額の3〜4%なし
登録免許税固定資産税評価額の2%不動産の固定資産税評価額の0.4%

結局、おしどり贈与でも相続でも税金は変わらない可能性が高い

おしどり贈与はとても大きな節税効果がありますが、相続でも「配偶者への相続の1億6000万円の特別控除」や、「自宅相続の小規模宅地の特例」といった相続税を減額できる特別ルールがあり、どちらにしても税金はかからない可能性が高いです。

その場合、上記の手続き費用の分だけ費用面で損をしてしまう可能性があります

贈与された方が先に亡くなった場合はかえって2度手間になる

せっかくおしどり贈与を活用して配偶者に贈与しても、配偶者が先に亡くなってしまった場合は、もう一度相続手続きが必要になってしまいます。
贈与のタイミングは慎重に判断する必要があります。

まとめ

上記のメリット、注意点を踏まえると、たとえば次のような方は「おしどり贈与」を活用する恩恵がありそうです。

自宅の相続をめぐって相続人同士で揉める可能性が高く、配偶者に確実に住まいを確保してあげたい方

おしどり贈与は大きなメリットがある一方で、他の制度とどちらが有利になるか慎重に比較検討する必要があります。

もしお困りの際はお気軽に当事務所までご相談ください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました