じいじ・ばあばから孫への「適切な」養育費支援は非課税!「教育資金贈与」との使い分けは?

子育てにはとても費用がかかります。

そんな大変な時期に、じいじ・ばあばからの支援があると本当に助かります。

たとえば、孫の入学祝に、じいじ・ばあばがランドセルや学習机を買ってあげる。

こんなことってとてもよくあります。

かわいい孫のためにいろいろな支援はしてあげたいけど、こんな心配をしたことってないですか?

じいじ
じいじ

孫の養育費を出してあげるのって、ひょっとしたら「贈与」にならないかな・・・?

安心してください。

じいじ・ばあばが、かわいい孫の教育のために「適切に」養育費を支援してあげることは、一切贈与にはあたりません。

ここで気を付けていただきたいのは、「適切に」ということです。

どういうことか、ここから詳しく解説いたします。

ぜひ最後までお読みください!

じいじ・ばあばから孫への「適切な」養育費支援とは?

じいじ・ばあばから孫への「適切な」養育費支援について、順を追って解説していきます。

そもそも子供を育てるための費用を大人が支援することは「贈与」ではない

まず、子供の養育費を扶養義務者が出してあげることは「贈与」にはあたりません。
以下のように、国税庁ホームページの中ではっきりと書かれています。

贈与税がかからない財産
夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から「生活費」や「教育費」に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの。
ここでいう「生活費」は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、「教育費」とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

国税庁HPより

親が子供を育てるためにお金を出すのは当たり前のことだから、贈与になるわけがないのです。

ここで気になるのは、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者」の中に「祖父母」が明記されていないことですが、直系尊属のじいじ・ばあばは当然扶養義務者になります。ご安心ください。

「適切な」養育費支援とは

国税庁の説明文の中で大切なキーワードが1つあります。

「必要な都度直接これらに充てるものに限られる」

というものです。

たとえば、文房具などに日用品をじいじ・ばあばが直接お財布から払ったり、学校の給食費や学習塾の月謝などをじいじ・ばあばの口座から直接振込するなどは、まさに「必要な都度直接」ということになります。

ただ、学校や習い事などの支払いは、両親のどちらかがする必要があり、祖父母からの支払いは認められないこともあります。

そんな時は、
・親が子供の教育資金専用の口座を作る
・給食費や月謝など、その都度必要な金額分だけを専用口座に振り込む

など、あとで税務署がお金の履歴を見たときに、「必要な都度直接」支援していたとわかるような記録を残しておくことが大切です。

「適切でない」養育費支援の仕方

反対に、「適切でない」養育費支援の仕方は、「生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合」です。

たとえば、こんなケースは良くありません。

祖父母が数か月分の養育費として、ざっくり100万円を親の口座に振りこむ

その後、口座から振込や引き出しが一切無い

これでは、いくら親が「入金口座と支払口座は別にしていて、親のお金は後で支払い口座に移すつもりだった」などと主張しても、ただ貯金に回しただけとしか見えないですよね。


また、こんなケースも良くありません。

祖父母が数か月分の養育費として、ざっくり100万円を親の口座に振りこむ

祖父母からの入金の直後、親が100万円の株を購入する

こんな預金の履歴を見たら、いくら親が「株は自分たちのこれまでの貯金から払っていて、祖父母からもらったお金ではない」と主張しても、そうは受け取ってもらえないですよね。


こんな受け取られ方をされないように、「支援したお金」と「支払実績」がしっかり紐づけされていると見てもらえるように意識して記録を残してください。

養育費の支援は「暦年課税」の110万円とは別もの!

養育費の支援はそもそも贈与には当たらないので、年間110万円なら贈与してもOKな「暦年課税」とは別ものです。

なので、じいじ・ばあばは、「年間110万円の贈与」と同時に「養育費」の支援をしても、税金はかからないということです。

1500万円まで非課税「教育資金贈与」制度との使い分けとは?

さて、ここまで「養育費は非課税」ということを説明してきました。

一方で、生前贈与の特例として「教育資金贈与」の制度があります。

この制度は、子や孫に教育費として贈与する場合は、1,500万円までなら贈与税を非課税にできるという制度です。

ただ、ここまで「そもそも養育費は非課税」と言っているのに、どうしてこのような制度があるのでしょうか?

「教育資金贈与」は、「認知症懸念時」や「余命宣告時」に有効

養育費が非課税となる大切な原則は、「必要な都度直接」というものでした。

じいじ・ばあばがいつまでも元気ならば、「必要な都度直接」支払ってもらえばOKです。
しかし、次のようなときが必ずやってきてしまいます。

  • じいじ・ばあばが「認知症」になり、自分の意志で孫への支援ができなくなってしまう
  • 重病で余命宣告」などをされ、「必要な都度直接」支払いできるのがあとわずか

こんな時に、将来の養育費、教育資金をまとめて一気に支援することができる制度なんです。

ただし、「教育資金贈与」の特例を受けるためには、次のような面倒な手続きが必要になります。

  • 銀行や証券会社に教育資金専用の口座を作ってもらう
  • 養育費にかかったことを証明するための領収書類を、専用口座を作った金融機関に提示する必要がある
  • 贈与税の確定申告が必要になる

また、贈与をした子や孫が30歳になるまでに養育費を使いきれず、専用口座に残高が残ってしまった場合は、その残額に対して贈与税がかかります

「教育資金贈与」については、事務手続きや節税効果の測定が複雑なため、利用する前に専門の税理士に相談することをおすすめします。

当事務所でも税理士の先生を紹介できますので、お気軽にご相談くださいね。

まとめ

今回は「教育資金は非課税」ということをお伝えしました。

かわいいお孫さんのためにお金を支援してあげることが「相続対策」にもなる

これはとても意義のあることだと私は思います。

ぜひ養育費の支援を有効活用して、家族みんなが幸せになれるような相続対策を進めていけるようにお祈りします。

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